エチオピア
エチオピアはアフリカ最古の独立国であり、アラビカ種の原産地でもあります。
主要産地はコーヒーの名の由来とされる南西部のカーファ地方、南部のシダモ地方などです。また、東部の高地ハラーも有名です。
ハラー高原産のモカハラーは、甘くスパイシーな香りと豊かなコクが特徴であり、世界的にみても高く評価されているコーヒーです。
ちなみにモカコーヒーにはエチオピア産とイエメン産があります。どちらの国もイエメンのモカ港から輸出してきたことが、その名前の由来になっています。
生活と結びついたコーヒー
エチオピアでは、約1500万人がコーヒー産業に従事しています。これは全人口の2割弱にのぼる数です。
また、輸出品の中ではコーヒーが最大であり、全輸出高の35〜40%を占めています。
エチオピアでは、一般の人々がコーヒーをよく飲みます。エチオピアで生産された4割ほどのコーヒーが国内で消費されています。まさに、コーヒーは“国民飲料”といえそうです。
カリオモン
カリオモンとは、エチオピアで行なわれるコーヒーを飲む儀式のことをいいます。英語では「コーヒーセレモニー」と呼ばれます。
これは大切な人をもてなすためのものであり、日本の茶道にもたとえられるものです。
冠婚葬祭の場面だけではなく、日常的な社交のときにもカリオモンは頻繁に行なわれます。
カリオモンはホストが生豆を煎ることから始まります。来客に対して合計で3杯のコーヒーが出されます。
一杯目は「アボル」と呼ばれます。それは感謝を込めて大地に注がれた後に、客の器に注ぎ分けられて、砂糖などが入れられます。
二杯目は「トーナ」と呼ばれ、塩を入れるのが伝統的な作法です。
「バラカ」と呼ばれる3杯目にはバターやカルダモン、クローブなどが入れられます。セレモニーは開始から終了まで2時間くらいかかります。3杯それぞれに大地や家族に感謝する気持ちが込められているのです。