アラビア半島で広まったコーヒー

アラビア半島で広まったコーヒー

12世紀になると、アラビア半島では世界で最初にコーヒーが商業用に栽培されて、貿易も行なわれるようになりました。

 

アラビア人の商人たちがコーヒーを自分たちの故郷に持ち帰った後、アラビア半島でコーヒー栽培が開始されたのです。

 

彼らは緑色のコーヒー豆をつぶして、お湯の中に入れ煮出して、カーファとよばれる飲み物を作りました。

 

その後、コーヒーの質や効能を高めるために、豆を焙煎するようになりました。ちなみに、カーファというのは「眠くなるのを防ぐ」という意味をもっています。

 

15世紀にはコーヒーは現在のイエメンがある地域で栽培されて、16世紀にはペルシアやエジプトやシリア、トルコといった国々にまで広まっていきました。

 

アラビア半島でコーヒーが好まれた理由

なぜアラビア半島でコーヒーが普及していったのでしょうか。それには、イスラム教徒たちがコーランによって酒を飲むことを禁じられていて、酒に代わる飲み物としてコーヒーが好んで飲まれたという理由が考えられます。

 

信心深いイスラム教徒の中には、コーヒーの飲み過ぎはコーランの教えに背くと訴える者もいました。

 

コーヒー禁止令

コーヒー人気はとどまるところを知らない勢いでしたが、それは賛否両論の論争を巻き起こしました。

 

とうとう、メッカの地方長官カイル・ベイが「コーヒー禁止令」を発布して、コーヒーの弾圧を行ないました。

 

しかし、当時のエジプト国王であったサルタンがコーヒーを好んでいたために、すぐさまコーヒー禁止令を撤回してしまいました。

 

コーヒー由来書

イスラム教国ではコーヒー迫害が何度か起こりましたが、コーヒーの正当性を説く試みもなされました。

 

それは1587年にアブダル・カディが記した『コーヒー由来書』です。

 

『コーヒー由来書』は、38章におよぶ手写本であり、コーヒーが健全な飲み物であることが書かれています。

 

また、それはコーヒーの起源について述べた最古の資料であり、ルイ14世時代には、フランスの駐大使ド・ノワンテルによって保持されて、現在ではパリの国立図書館に保管されています。

 

コーヒーハウスの登場

コーヒーは自宅だけではなくて、多くのコーヒーハウスでも飲まれるようになりました。

 

1475年には、オスマントルコ治世下のコンスタンチノープル(現イスタンブル)に世界初のコーヒーハウス、『キヴァハン』が開店しました。

 

コーヒーハウスでは、あらゆる社会的な活動が行なわれました。人々はコーヒーを飲むだけではなくて、会話をしたり、音楽を聴いたり、チェスをしたり、日々の情報を得たりしたのです。コーヒーハウスは当時の人々にとっての情報交換の場になっていったのです。

 


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