インスタントコーヒーの歴史
手軽にコーヒーを飲みたいときに便利なのがインスタントコーヒーですが、それにはどんな歴史があるのでしょうか。ここではインスタントコーヒーの歴史を詳しくみていきます。
世界初のインスタントコーヒー
世界で最初のインスタントコーヒーは1771年に英国で発明されたといわれています。1853年にはアメリカで最初の製品が開発されました。その後、南北戦争が起こっているときに、固形状のインスタントコーヒーが兵士たちに配られました。
米国に渡った加藤サトリ
1899年に、日本人の科学者加藤サトリは、インスタントコーヒーの実験に成功しました。加藤サトリの方法は、液化したコーヒーを真空蒸発缶に入れて水分を除去し、粉末にするというものでした。その後、彼は米国に行き、1901年にパン・アメリカン博覧会で初めてインスタントコーヒーを出品しました。
加藤サトリは最初、インスタントティーを開発しようとしていて、その技術をコーヒーに適用したといわれています。
ジョージ・ワシントンによる大量生産
1909年に、インスタントコーヒーの大量生産が最初に行なわれました。それを行なったのは、ベルギーから米国に移住したジョージ・コンスタント・ルイス・ワシントンでした。
(有名な米国大統領、ジョージ・ワシントンとは別の人物です。)
ジョージワシントンは特許を取得しましたが、その当時、多くの人々から「インスタントコーヒーはおいしくない」と思われていました。
米軍兵士とインスタントコーヒー
一般市民の間で、インスタントコーヒーの人気はそれほど高くありませんでしたが、意外なところでインスタントコーヒーは知られるようになりました。
インスタントコーヒー人気に火をつけたのは米軍の兵士でした。兵士たちが戦場でコーヒーを飲むときに、インスタントコーヒーは手軽に入れられる飲み物でした。
第一次世界大戦のときには、兵士たちはインスタントコーヒーをジョージ・ワシントンにちなんで「カップ・オブ・ジョージ」と名づけたといわれています。兵士たちは戦争が終わって母国に帰ったあとも、インスタントコーヒーを飲み続けたのです。
第二次世界大戦になると、インスタントコーヒーは米国の兵士たちの間でより有名になっていきました。
戦争中、1年間で米軍は100万ケース以上のネスカフェのインスタントコーヒーを買ったといわれています。それは当時の米国ネスレ社の1年間のインスタントコーヒーの生産量に相当するものでした。
戦後は一般家庭用にも広く消費され市場に出回っていきました。
現在でも、インスタントコーヒーは市場で大きな影響力を持っています。
インスタントコーヒーの製法
インスタントコーヒーの製法には2種類あります。
ひとつはスプレー・ドライです。噴霧乾燥法ともよばれます。濃縮コーヒー液に熱風を噴霧する方法です。
もうひとつはフリーズ・ドライです。それは凍結乾燥法ともよばれます。コーヒー液をマイナス50℃前後で冷風乾燥し、顕粒化する方法です。